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ヒビノヒトコマ

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2016年 01月 17日

4冊目 「荒地の恋」

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ナニカヲミテイル




荒地の恋 (文春文庫)

ねじめ 正一/文藝春秋

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5本指に入る大好きな小説。
WOWWOWでドラマ化され一回目は無料で見ることができた。
わたしはせっかちの性格。読書スピードは早く忘れるのも早い。

ドラマがあまりにもあまりにも修羅場修羅場で見るのが辛くなる。
こんな内容であったかと再読。
ほぼ忠実で、映像と文字の世界の違いを改めて感じる。
映像のよさもあるけれど、この小説はやはり小説で楽しみたい。
映像となると役者さんの上手さもあって、とてもとても生々しく心情よりも行動が目立ってしまい、
この小説の良さがなくなってしまうのだ。

さて再読も一気読み。
最初の印象と変わらずとてもとても好きな作品であった。

田村ご夫妻を大学生の時にほんの少し存じ上げている。
あの荒地の恋の頃。
当時の私には失礼だけれどもう老境に入っている芸術家のように見えた。
田村隆一さんは何しろダンディで男性としての現役感はあったけれど、
和子さんは重い鬱に苦しんでいらっしゃるようで沈鬱ながら小柄でてほっそりとなさっていて少女のような雰囲気のかわいらしい初
老の女性という印象。
あんなに激しい恋をなさっていたなんて想像もできなかった。
そして時代とともに人というものも変わっていく。
今自分がその年令を超えていることにまず驚く。
小利口に立ち回らない、ある意味真摯で自分にとっての不都合、不利益を顧みないその強さにやはりやはり心が打たれるのだ。
太郎さんは家庭を裏切りはしたけれど、どんなに逼迫しても妻への送金はとだえることなく、その誠実さがあるからこそ、この不倫の恋模様が地に落ちない。全てを捨てそして新しい人間関係を得ていく彼の人生はある種のすがすがしさがある。

一週間前に読んだ本をつらつら思い出していると、先週辟易したドラマの続きも見たくなってきた。
そう、太郎さんがとても魅力的だということに気がついた。
三人の恋模様ではなくて、北川太郎というそのひとの魅力、まさにその年代の豊川悦司がどう演じるのか、楽しみがひとつ増える。










by nekototorito | 2016-01-17 11:07 | 読書


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